桜の道

地下鉄の階段を駆け上がり、
立ち並ぶビルが視界に飛び込んでくると同時に
強く冷たい風に抱かれた。
思わずえりを立ててしまう。

歩道橋の上で、目を閉じてみる。
打ち消していた車の音が消える時がある。

風に吹かれ、街路樹が奏でるハーモニーは、田舎も都会も変らない。

また一歩踏み出していく私には、何の迷いもない。
ただ、この地でどこまで出来るのか、
波動は遠いほど伝わっていくのが遅いのは事実。

帰りの車窓から見えていた雪も、着いた頃にはもう降ってはいない。
駅まで迎えに来てくれた妻は何も聞かず微笑んでいる。
助手席に座って、透き通った夜空を見ている自分がいる。

満開に咲くさくらの道は遠いようで近く、近いようで遠い。



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